マイクロスコープ

他院からの根管治療のみのご依頼はお受けできませんので予めご了承ください。当院は治療後のメンテナンスも重視しておりますので、根管治療とメンテナンスの両方対応致します。

マイクロスコープ精密根管治療

Leica 手術用顕微鏡 M320-D

マイクロスコープ精密根管治療 Leica 手術用顕微鏡 M320-D

マイクロスコープとは、肉眼の20倍~30倍程度の視野で治療を行うことができる歯科治療専用の顕微鏡です。

マイクロスコープを使用することで、従来は歯科医の勘や経験によって手探りで行っていた根管治療が、しっかりと患部を確認しながら行うことができるようになりました。

これにより、汚れの見落としや、作業中のエラー発生リスクが下がり、安全で確実な治療が可能となりました。

また、マイクロスコープに映し出された映像を録画することもでき、治療の様子を確認しながら安心して治療を進めることができます。

顕微鏡の見え方

当院のマイクロスコープの見え方(動画)

当院のマイクロスコープの見え方(動画)

当院のLeica社マイクロスコープはアポクロマート補正レンズを採用しており、ライカ独自のコーティング技術と光学テクノロジーにより、低倍率から高倍率まで、ピントの合う範囲(被写界深度)が広く、綺麗な像を映し出します。裸眼やルーペの見え方とは格段に見え方が違うことがご実感いただけると思います。

顕微鏡の見え方

保険診療の従来型根管治療で再治療(失敗)が多いのはなぜ?

『神経を抜く』という言葉で一般の方にも知られている根管治療は、実は歯科医療の中でも繊細で高度な技術が要求される治療の一つです。

欧米などの先進国では根管治療時に歯科医師によるマイクロスコープの使用は必須とされ、その有効性は多くの論文でも示されています。しかし、残念ながら日本全国の歯科医院でのマイクロスコープ普及率が約5%とまだまだ低く、『保険適応診療内での従来型根管治療』では、裸眼レベルでの根管治療が行われているのが現状です。
また、根管治療の際に根管に唾液や細菌が入らないようにするために行う『ラバーダム防湿』は、治療の成功率に大きく影響するにも関わらず、国の医療費削減の影響を受け、平成20年の保険点数の改正で、ラバーダムそのものに保険点数の項目が廃止されました。
ラバーダム防湿が非常に重要であるにも関わらず、それなりに手間や材料費、診療時間が長くなるなどのコストバランスが悪くなり、日本の歯科医院で、保険診療内の根管治療ではラバーダム防湿環境下で、十分な時間と材料を使用した根管治療は経営的に行い難い状況になっているということが問題となっています。

ラバーダム防湿

根管治療を専門とする日本歯内療法学会の会員

  • ラバーダム防湿法を必ず使用する…25.4%
  • ラバーダム防湿法を全く使用しない…50%

日本歯内療法学会員以外

  • 必ず使用する…5.4%

アメリカ合衆国の根管治療専門医

  • ラバーダム防湿の使用率…90%以上

(参考文献)
吉川ら:根管処置のおけるラバーダム仕様の現状,24:83-86,2003.
Whiteen GH et al:Current trend in endodontic treetment;report of a national surgery.J Am Dent Assoc,127:133-1341,1996

下の表は、保険適応の従来型根管治療が既に行われた歯のレントゲンを調査し、根の先に膿袋が確認された(失敗)割合をグラフにしたものです。(平均60%)
つまり、保険診療では多くの歯科治療が少ない自己負担で治療できるといったメリットがある反面、根管治療においては上記の理由から病変(膿袋)が再発(失敗)する可能性が高くなっているという現状があります。

膿袋が確認された割合のグラフ

世界の先進国で整備された設備と診療システムの環境下で専門医が行う根管治療の成功率と比較すると大きな格差があります。世界水準の根管治療の成功率を得るためには、当院では以下の4つのポイントを重要と考えています。

当院の精密根管治療で大事にしている4つのポイント

  • ラバーダム防湿(無菌的処置の徹底)
  • マイクロスコープ使用
    (手探りや勘に頼るだけでなく、しっかり視える設備)
  • 繊細な作業に十分な治療時間と必要な材料を十分にかける
    (精密根管治療の治療時間と治療回数:約60~90分/回、3~5回程度)
  • 2次元のレントゲンのみならず、CT3次元精密画像診断による術前と術後評価(治癒を確実に評価)を行う
    (特に大臼歯部では周囲骨が厚く、2次元レントゲンでは診断が正確にできない場合があるため、CT評価が有効な場合が多いのです)

精密根管治療料金表

当院ではご相談いただいた主訴に応じて、根管治療の問題点を詳しく検査したうえで、以下のような治療計画見積書を作成・ご相談しています。治療方法についての選択肢や可能性・成功率・治療期間/費用・治療リスクをしっかり術前にご理解・納得されたうえで治療スタートとなります。

動画で見るマイクロスコープを使った根管治療

根管内部は洞窟のように入り組んでおり、細かな凹みや狭い溝に感染した神経などの汚れが残りやすい。顕微鏡(マイクロスコープ)で細部の確認をしながら、根管内の形状に応じて細かい清掃をすることが成功率をあげるのに有効です。

状態別の治療例

①抜髄(初めて神経を抜く治療)

感染組織を除去

歯が折れたり、むし歯の菌が歯髄に感染して、不可逆的な炎症を起こしてしまうと、感染した神経組織を抜く必要があります。症状としては、自発痛、冷水痛、咬合痛などがあります。

上前歯と小臼歯の抜髄
上前歯と下奥歯の抜髄

②感染根管治療(根の先に膿、やり直しの再治療)

汚染された組織を除去

時間をかけて細菌が根管全体または根の先を越えて感染した場合に、根の先に膿が溜まります。
一方、一度抜髄をされた歯の再感染、あるいは感染源の取り残しがあると、痛みを感じることなく膿袋が巨大化していることがよくあります。疲れたり、風邪を引いたり免疫力が低下すると、症状が急性化し、拍動性の自発痛、歯肉・顔面部腫脹・リンパ腺腫脹・発熱などが突然起こることがあります。

根尖孔と側枝と髄管からの感染拡大経路

歯髄腔、根管内に細菌感染が波及すると、根尖孔や側枝、髄管を通じて、感染・炎症が歯根膜(歯根?骨間にある靭帯)に沿って拡大します。

上前歯と下前歯の感染根管治療
上小臼歯と大臼歯の感染根管治療
髄管を通じて根分岐部に病変ができた感染根管症例

③歯内-歯周複合病変

根尖病変と歯周病が交通する

歯内疾患由来の根尖病変(根の先の膿)と歯周病が重度に進行することで病変が交通してしまった場合、歯周病の進行程度によって治療の成功率は大きく変わってしまいます。
歯根が大きなダメージを受けている状態なので、割れずに長持ちさせることは非常に難しく、状況に応じて抜歯を含めた治療プランの可能性をご相談させていただく場合があります。

*根の先の膿と歯周病が重度に進行し病変が交通した症例

根の先の膿と歯周病が重度に進行し病変が交通した症例

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